◆大人にも味わってほしい紙芝居シリーズ
大人にも味わってほしい紙芝居シリーズは、「紙芝居は大人にもしっかりと向き合ってほしい文化」であるとの想いを出発点に、「大人をメインの対象とし、じっくりと鑑賞できる作品、触れるたびに新たな発見があるような作品を掘り起こし、紙芝居化していく」「これらの紙芝居作品との出会いが、原作や原作者の他の作品への橋渡しにも結び付くような作品化を目指す」という趣旨で取り組んでいるシリーズです。
■No.1 山月記 16場面・2015年発行
<作品概要>
●原作:中島 敦「山月記」(1942年『文学界』二月号掲載)
●脚色:伊葉 冬歩
●画 :山田 芽里
●16場面・約23分
●2015年発行
●3,500円+税(税込3,850円)
<作品あらすじ>
今から千三百年ほど前の中国。李徴と袁傪は、難関で知られる科挙の試験にともに首席の成績で合格し親友となる。李徴は、管理職として地方に赴任するが、詩人を目指すために役人を辞めてしまう。故郷に戻り詩作にうちこんだが、やがて行方不明になってしまった。一方、袁傪は皇帝に直接仕える役人として出世していく。一年後、指令を受けて南方に向かっていた袁傪は、途中の山道で、変わり果てた李徴と再会する。月明かりの下で李徴は、自身に起きた出来事を語り始めた。
■No.2 学者アラムハラドの見た着物 18場面・2016年発行
<作品概要>
●原作:宮沢 賢治「学者アラムハラドの見た着物」(生前未発表・未完)
●脚色:伊葉 冬歩
●画 :山田 芽里
●18場面・約22分
●2016年発行
●3,500円+税(税込3,850円)
<作品あらすじ>
東と西を結ぶ交易路の途中の小さな街。学者アラムハラドは、街外れの塾に子供らを集めて、さまざまなことを教えていた。ある日、子供らを連れて山に向かいながら、市場や畑、動植物などを素材に野外授業をしているうち、突然、奇妙な大雨にみまわれる。近くに岩屋を見つけて避難すると、今度は焚き火を囲んでの授業が始まった。アラムハラドは、火、水、鳥などが「しないではいられない性質=本質」を説いたうえで「では、人はどういうことが、しないでいられないだろうか…」と子供たちに問いかける。
■No.3 鳥右ヱ門諸国をめぐる 21場面・2018年発行
<作品概要>
●原作:新美 南吉「鳥右ヱ門諸国をめぐる」(1943年『花のき村と盗人たち』収載)
●脚色:伊葉 冬歩
●画 :山田 芽里
●21場面・約23分
●2018年発行
●3,500円+税(税込3,850円)
<作品あらすじ>
武士の鳥山鳥右ェ門は弓の名手。ある時、怒りにまかせて家来・平次の目を弓で射てしまった。数年後、船頭になっていた平次の「人のためになることをしてこそ、えらい」との言葉にうたれ、武士を捨てて旅に出る。さまざまな仕事を体験した後、請われて貧しい村の僧侶となり村人に尽くしていった。やがて鳥右ヱ門は、村に釣鐘をつくろうと寄付集めの旅に出る。8年間、諸国をめぐった帰り道、最初に立ち寄った村が水害に見舞われたことを聞く。集めた寄付を役立てようかと迷うが、そのまま村に帰り釣鐘を完成させた。村人が喜ぶ中、鳥右ェ門は年老いた平次と再会する。
◆いきいき子どもたち 高田弘子の世界
高田弘子さんは、北海道恵庭市在住の紙芝居作家・画家で、さまざまな創作活動や読み聞かせ活動、絵画・イラスト制作などに取り組まれています。紙芝居作品としては『でんきちとどんぐり』『つきよのおふろ』(いずれも童心社)などが大手出版社から発刊されています。
このシリーズは、オリジナルの物語や、敬愛する文学者・新美南吉の童話を舞台に、高田弘子さんが子供たちの姿をいきいきと描き出す紙芝居作品として制作したシリーズです。
No.1:こちょこちょたろべい 9場面・2018年発行
<作品概要>
●脚本:高田 弘子(オリジナル作品)
●画 :高田 弘子
●9場面・約8~10分
●2018年発行
●1,991円+税(税込2,190円)
<作品あらすじ>
たろべいは元気いっぱいの男の子。げん爺と一緒に海に出て魚をとっています。日照りが百日も続いて、浜では魚がとれなくなってしまいました。困った村人たちは、くさった魚に油をかけて燃やし、黒い煙をあげて雨乞いをします。ところが、臭い煙に怒ったお天道さまが黒雲の間から大きな足を出し、村を踏みつぶそうとしました。そのとき、赤いふんどし姿のたろべいが飛び出してきて、なにやら歌い出しました。
No.2 子どものすきな神さま 13場面・2019年改訂増補版発行
<作品概要>
●原作:新美 南吉「子供のすきな神さま」
(1941年~1942年執筆推定、1948年『きつねのおつかい』にて発表)
●画 :高田 弘子
●脚色:伊葉 冬歩
●13場面・約10分
●2019年 改訂増補版発行
●2,255円+税(税込2,480円)
<作品あらすじ>
ふだんは森にいて、歌をうたったり動物と遊んでいる神さま。実は子どもが大好きで、ときどき村に出てきては、子どもたちと一緒に遊びまわります。けれども、その姿は誰の目にも見えないのでした。ある雪の日。子どもたちが、雪面に顔を押しつけて写す遊びをしていました。写した顔の跡を数えてみると、なぜか一つ分、多いのです。これはきっと、いつもの神さまが遊びに来ているのだと気付いた子どもたちは、みんなで神さまを捕まえるための相談をはじめました。
No.3 うた時計 14場面(制作中)
<作品概要>
●原作:新美 南吉「うた時計」(1942年『おぢいさんのランプ』収載)
●画 :高田 弘子
●脚色:日暮 道登志
●14場面(予定)・約12~14分
●2019年~制作中
●予価 2,255円+税(税込2,480円)
<作品あらすじ>
二月のある日、野中のさびしい道を、少年と男の人とが会話をしながら歩いていた。少年が男のコートのポケットに手を入れると、うた時計(オルゴール)が鳴り始める。美しい音色を繰り返し聞きながら、少年は、うた時計にまつわるいろいろな思い出を男の人に語りかける。分かれ道に至り、二人はそれぞれ別の道へと進んでいく。ところが、男の人が遠くから声をあげて少年を呼び止める。少年が歩み寄っていくと、ポケットの中のものを取り出しながら「頼みごとがある」と話し出す……。
◆紙芝居で出会う不思議のとびらシリーズ
紙芝居の持つさまざまな可能性やポテンシャルに着目し、新しい視点での紙芝居作品化を目指していくシリーズです。
No.1 ある日 10場面・2016年発行
<作品概要>
●企画・脚本・絵:深田 早苗
●10場面・約8~12分(参加型対応により変動します)
●2016年
●1,991円+税(税込2,190円)
<作品のあらまし・趣旨>
「夜です。夜です。みんな寝静まっています。静かな静かな夜です」と、真黒な絵とともに始まります。1枚、1枚と場面が進んでも、少しずつ色の変わる1色の画面が続いて、なかなか絵のある場面が出てきません……。
実は、紙芝居の絵として具体的な物を描かず、一つひとつの場面の絵を全一色で構成し、それを踏まえて脚本を作成した参加型の新しい作品です。演じ手の自由な発想と、観衆とのやり取りで、創造の世界を広げていってください。